慢性膵炎の原因と症状は?治療方法は?

医師

慢性膵炎とは、膵臓内で炎症が繰り返し起こることで、膵臓の機能を果たす細胞が破壊され繊維質になり、徐々に機能低下が起こってしまう病気です。

 

膵臓から分泌される膵液が粘着質になってしまい、膵管内での流れが滞り、膵臓自体が消化されてしまうことで炎症を繰り返してしまうのです。

 

繊維質になり機能を失った細胞は元に戻ることがありませんので、症状が進めば進むほど、膵臓の機能は失われてしまいます。

 

-スポンサード リンク-

慢性膵炎の原因は

慢性膵炎の6〜7割は飲酒が原因です。長期間、多量のお酒を飲み続けることで、アルコール成分が膵液をドロドロにしてしまったり、膵管の出口をむくませることで、膵臓の細胞の炎症を引き起こします。

 

10〜15年以上、毎日多量のお酒を飲んでいるとリスクが大幅に上がると言われており、毎日、日本酒なら3合、焼酎なら2合、ビールなら中ビン3本以上飲んでいる人は、飲む量を減らさないと危険です。

 

飲酒以外では原因不明の突発性のものや胆石症を原因とするもの、急性膵炎から慢性膵炎になってしまう例なども見られます。また遺伝的な要素によるものもあると言われています。

 

初期と後期で違う慢性膵炎の症状

慢性膵炎は、「代償期」と呼ばれる膵臓の機能がまだ落ちていない初期の段階と、「非代償期」という機能が低下する後期に分けられ、それぞれ症状に違いがあります。

代償期の症状

腹痛、腰痛、背部痛、吐き気、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感など

非代償期の症状

代償期の症状は治まり、下痢、脂肪便、体重減少など

 

すい性糖尿病を発症する可能性も高い

慢性膵炎の症状が進むと、膵臓の機能が低下し、インスリンやグルカゴンといった血糖値を調整するホルモンの分泌量が少なくなります。それによって血糖値の調整がうまくできなくなりますので、「すい性糖尿病」を発症してしまう可能性が高くなります。

 

すい性糖尿病になると、脂肪便や栄養障害といった症状も現れます。これは膵臓の機能低下により、強力な消化液である膵液の分泌も少なくなるため、消化・吸収がうまくできなくなるためです。

 

また血糖値調整ホルモンが十分出ないうえに、栄養の吸収力も落ちてしまいますので、それにより低血糖症を発症し、危険な状態になってしまう可能性もあるので注意が必要です。

 

膵臓がんの発症リスクが高い

慢性膵炎から膵臓がんに発展する危険性は高いとされていますが、特に膵石症を伴う慢性膵炎の場合は、ガンになる確率が健康な人に比べて20〜30倍に跳ね上がると言われています。

 

膵石症というのは、膵管内に石ができてしまい、膵液の流れが悪くなり、腹痛や発熱、炎症が引き起こされる症状で、慢性膵炎と診断された人の約4割に見られるものです。

 

慢性膵炎の治療方法は

慢性膵炎の治療は、初期段階の代償期と、後期の非代償期で方法が異なります。

代償期の治療

代償期は痛みや吐き気など激しい症状を抑え、膵臓の組織の破壊が進まないようにするための治療が中心となります。

 

断食・断飲

食べたり飲んだりしてしまうと、膵臓はそれを消化しようと消化液(膵液)を分泌してしまいます。膵炎を起こしている状態で膵液が分泌されてしまうと、膵臓自体を消化してしまい状態が悪化してしまうので、断食・断飲することでそれを防止すると同時に膵臓を安静に保ちます。

 

投薬

まずは痛みを軽減させるために使われるのが「鎮痙薬」「鎮痛薬」。痛みの程度等の状況によりこの他の薬が使われることもあるようです。

 

次に膵液の分泌を抑えるために使われるのが「消化酵素薬」。膵液の代わりにこの薬が消化の役目を果たすことで、膵液の分泌を抑えるのです。ただ、膵液は強い酸性の胃酸を中和する役目も担っています。そこでその役目を肩代わりするために、胃酸を抑えたり中和する効果のある「制酸薬」も使われます。

 

さらに分泌されてしまった膵液がタンパク質、つまりは膵臓自体やその周辺の組織を消化してしまわぬように、その機能を阻害する「タンパク質分解酵素阻害薬」も使用されます。

 

その他

慢性膵炎になった原因が分かっているものであれば、その原因を取り除くことも必要となります。

 

飲酒が原因であれば、断食・断飲が終了した後、禁酒が必要となりますし、食生活に問題があった場合は食生活の改善が必須です。胆石症が原因だった場合は、内視鏡で詰まっている胆石を取り除いたり、体外から衝撃波を当てて石を砕く治療などが行われます。

 

また、上記のような治療を行っても、慢性膵炎の改善が見られない場合は、外科的な治療も行われる可能性もあります。

 

非代償期の治療

非代償期の治療は、痛みの緩和や膵液の分泌を抑えるのではなく、合併症の治療が中心となります。

 

膵臓は破壊が進んでしまい、本来の機能を果たせなくなってしまいます。よって、膵液の分泌もほとんどされなくなりますので、膵液に対応する必要もなくなりますし、それまであった痛みの症状も治まりますので、鎮痛薬等の投与も不要となります。

 

そして、膵臓が働かなくなるということは、十分な消化液(膵液)が分泌されなくなりますし、インスリンなど血糖値を調整するホルモンの分泌も減ってしまいますので、それらに対応する治療が必要となるわけです。

 

具体的には、消化吸収障害をカバーするために消化酵素薬や総合ビタミン剤の投与。また、血糖値調整機能の低下をカバーするための食事制限を行いますが、それだけで血糖値調整ができない場合は、低血糖状態にならないよう注意をしながら、インスリン注射を行うこととなります。

 

また、生活療法として、糖尿病用の食事を摂り、お酒は厳禁、ストレスや過労に気をつけつつも活動的な日常生活をおくる必要があります。

 

ここまで進行してしまうと、残されたわずかな膵臓の機能を活かしつつ、合併症の予防に務めることがひじょうに重要です。合併症が多くなると、それはすなわち死を意味しますので、絶対に治療はサボらず、生活習慣の改善は徹底的に行う必要があります。

 

 

−スポンサード リンク−