急性膵炎の原因と症状は?基本的な治療方法は?

医師

急性膵炎とは、膵臓から分泌されるタンパク質を消化するトリプシンという酵素が、膵臓内で活性化してしまい、膵臓自身を急激に消化(自己消化と言います)してしまう病気です。

 

この急性膵炎は軽症であればいいのですが、重篤な場合は、胃、肺、腎臓、腸などにも同時に炎症を起こしてしまう多臓器不全により、命にかかわる場合もあるので早急な処置が必要となります。

 

2007年に行われた難病情報センターの調査では、急性膵炎で診療を受けた患者数は57,560人。発症する年齢は男性が50代、女性は70代が最も多く、そのうち2割の人に重症化が見られたそうです。1987年以降、患者数は増加を続けており、現時点では急性膵炎にかかる人はさらに多くなっていることが予想されます。

 

  1. 急性膵炎の原因は
  2. 急性膵炎の症状は
  3. 検査方法と診断基準
  4. 急性膵炎の治療は

 

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急性膵炎の原因は

お酒

急性膵炎の主な原因として飲酒と胆石症があげられます。この2つを原因とする急性膵炎が半数以上を占めており、男性は飲酒、女性は胆石症が一番多い原因となっています。

 

お酒を継続的に大量に飲んでいると、アルコール成分が膵臓の細胞を破壊したり、十二指腸に繋がる膵管や総胆管のあたりにむくみが発生する可能性が高まります。

 

それらを原因として、本来は十二指腸に流れ出してから活性化するはずの膵液(消化酵素)が、膵臓内で活性化してしまい、膵臓を溶かしてしまいます。

 

胆石症なってしまうと、膵管の十二指腸への出口を胆石が塞いてしまう可能性があり、そうなると膵液の流れが滞ったあげく活性化して、膵臓を溶かしてしまうのです。

 

飲酒と胆石症以外の原因としては、慢性膵炎や高脂血症、突発性のもの等が考えられます。

 

急性膵炎の症状は

腹痛に苦しむ人

急性膵炎で最も多いのが、胃やおへその上辺りの腹痛で、吐き気や嘔吐も伴います。

 

多量の飲酒や脂っこいものを食べた後に発生することが多く、軽い痛みの場合もあるようですが、多くが立っていられないほどの激痛に苦しめられます。

 

アルコールや食べ物が入ることで膵液が分泌されますので、それが急激に膵臓を自己消化を始め、それが激痛となって現れるわけです。

 

その他の症状としてあげられるのは、食欲の低下や腹部の膨満感、発熱、背部の痛みなど。重症の場合は、発熱、冷や汗、血圧低下、呼吸困難、頻脈といった症状が現れ、命の危険性もあるため、すぐに病院での処置が必要となります。

 

異常な痛みを感じたらすぐに病院に行ってください。激痛の場合はまともに歩くこともできませんので救急車を呼びましょう。急性膵炎の約20%に重症化が見られ、重症化した場合の致死率は30〜50%もあると言われています。手遅れにならないように速やかに行動するようにしてください。

 

急性膵炎の検査と診断

急性膵炎は激しい腹痛が伴う病気ですが、腹痛を伴う病気は他にもありますので、それと鑑別するために、問診や触診、血液検査、画像検査といった検査が行われます。

問診や触診

まず行われるのが問診と触診です。問診は、「どこがどのように痛むか」「どのようなものをいつ食べたか」「症状は?」「過去の病歴」「飲酒歴」「ストレスはないか?」「過労ではないか?」といったことを聞かれますので、できるだけ詳しく伝えるようにしましょう。

 

触診ではお腹を押します。急性膵炎であれば、発症から時間がたっていなければ、お腹を押すと痛みを感じます。また、医者はお腹の硬さにより進行度合を判断することができるのです。

血液検査

血液検査では、主に血中に含まれるアミラーゼやリパーゼ、エラスターゼといった膵液に含まれる酵素の量をチェックします。

 

正常な状態であっても、これらの酵素は血中にはわずかに含まれているのですが、膵臓が傷ついていると、これらの酵素が血中に流れ出てくるため、急性膵炎の可能性があるかを確認できるのです。

画像検査

急性膵炎の疑いがある場合は、状況に応じて、「胸・腹部単純X線検査」「超音波検査(エコー検査)」「CT検査・MRI検査」といった画像検査が行われ、膵臓やその周辺の状況を画像で判断します。

 

急性膵炎の診断基準

下記3項目のうち2項目を満たし、他の膵疾患や急性腹症を除外したものが急性膵炎と診断されます。

  1. 上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある
  2. 血中あるいは尿中に膵酵素の上昇がある
  3. 超音波、CTまたはMRIで膵臓に急性膵炎に伴う異常所見がある

 

急性膵炎の治療は

入院中の急性膵炎患者

急性膵炎の場合、当然ながら入院が必要となり、以下の5つのことが基本治療として行われることになります。

 

  1. 痛みをやわらげる
  2. 膵臓を休ませるために絶食・絶飲
  3. 点滴で栄養・水分を補給
  4. 活性化した膵酵素の働きを抑える
  5. 感染等の予防

 

まずは行われるのが激しい痛みの緩和です。非麻薬性の強力な鎮痛剤を、座薬や筋肉注射で投与するのが一般的だそうです。

 

そして、食べ物や飲み物を入れてしまうと膵臓から膵液(消化液)が分泌されてしまい、自己消化を始めてしまいますので、一切の食べ物や飲み物を断つ、絶食・絶飲を炎症がおさまるまで(軽症であれば数日)行い、膵臓を休ませます。

 

当然ながらその間、水分や栄養素を普通に摂取することはできませんし、膵臓の炎症により体液が膵臓周辺などにしみ出してしまい、それにより血液量の減少で脱水状態に陥る危険性が生じます。

 

なので、十分な栄養素と水分を摂取するために点滴により輸液を行い、場合によっては鼻の穴からチューブを腸内まで入れて栄養剤を流す経管栄養を行うこともあるようです。

 

さらに、活性化して膵臓を自己消化してしまっている膵酵素の働きをおさえるための、タンパク質分解酵素阻害薬を点滴で投与。ほかにも炎症部分の感染を予防するための抗菌薬などの薬も状況に応じて投与されます。

 

また、胆石を原因とした膵炎の場合は、内視鏡を挿入して胆石を除去するなど、胆石の治療も進めることになります。

 

重症の急性膵炎の場合は、カテーテルを用いてタンパク質分解酵素阻害薬や抗菌薬を大量投与したり、血液浄化や一部の腸内細菌群の根絶をするなど、大掛かりな治療を行うことになります。

 

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